2011年7月15日金曜日

本丸御殿復元工事上棟記念式典に感動!

 今週の火曜日の7月12日に本丸御殿復元工事上棟記念式典が開催されました。
 平針木遣り音頭保存会の皆様による棟木担ぎの披露から始まりました。約400年前の名古屋城築城の際の木遣り音頭を伝承されているとのことでした。建物の一番高い位置に取り付けられる「棟木」という部材を皆で息を合わせて、肩に担ぎ、木遣り音頭を歌いながら入場されました。素晴らしい澄み渡った歌声が、その場の空気をすべて清浄してくれたように私は感じました。昔ながらの穏やかで、のどかな日本を垣間見ることができ、感動致しました。平針木遣り音頭保存会は、昨年名古屋開府400年事業「夢なごや400」で、推薦され、「どえりゃあ魅力賞」を受賞され、現在名古屋市無形民俗文化財に指定されているそうです。主催者やご来賓の皆様のご挨拶の後、厳粛な雰囲気の中、「棟木納め」が平針木遣り保存会の皆様により、無事、棟木が運ばれ、古式に従い曳綱、槌打が行われました。これは、建物を築き上げる過程においてもっとも重要な儀式とされており、建屋にとって大変重要な棟木を曳き上げ、打ち固める為の儀式であり、同時に完成までの無事息災を祈るものとのことです。「曳綱」は、元々、綱を棟木に結んで棟の高さまで吊り上げて運んだ様子が、上棟の際の儀式として今も残っているものだそうです。一般的に行われる曳綱は、大工さんのみで綱を引くことが多いのですが、名古屋城本丸御殿は、皆様のお力添えを頂きながら、平成の市民普請として復元を進めているという意味合いから、会場全員で綱を引かせて頂きました。白扇を振る采振り(ざいふり)とご来賓の「えい、えい、え~い」の掛け声と身振りに合わせ、皆で「えい、えい、え~い」と唱和しながら、曳綱を引き上げる動作を行いました。心憎い演出により、本丸御殿の復元完成への期待と思いが一層高まり、会場中の皆様の心がひとつになれた気が致しました。
 続いて、「槌打」が検地役・振幣役・振幣後取役(ふりへいしどりやく)・槌打役・後取(しどり)・応声役(おうせいやく)の工匠により、行われました。「槌打」は、皆で棟に上げた棟木を工匠の手により打ち固める儀式だそうです。建物の棟部には、棟飾りが施されており、邪を払う縁起の良いものとされる鏑矢(かぶらや)と、雁股矢(がんまたや)があり、この2つの矢は、実際に鬼門・裏鬼門の方向に向き、この建物に悪いものが決して入ることがないように飾られているそうです。また、振幣役の指示を受け工匠が棟木を打ち固める時に、振幣役が振幣を振り、千歳棟(せんざいとう)、万歳棟(まんざいとう)、永永棟(えいえいとう)と発声しました。これには、この建物が千年万年永遠に無事であれという工匠たちの思いが込められているとのことでした。先程の「曳綱」に続き、上棟の時にしか見られない特別な行事と伺い、身が引き締まる思いが致しました。「槌打」が厳かに行われ、本丸御殿表書院の棟木が、幾久しく永遠にめでたく打ち固められ、名古屋城本丸御殿上棟記念式典が終了しました。
 その後、希望者は、杉の木を薄く手で裂いた杮(こけら)を打ち付けていく屋根葺きの様子をまじかで見学をさせて頂くことができました。杉の木が雨で膨張する寸法を計算に入れ、匠の技で、どんどん打ち付けられていました。隙間を空けている理由など、次々に疑問がわき、その場で質問をさせて頂き、更に感動を致しました。その日は、一日、市民の皆様に名古屋城が開放(入場料無料)され、午後からは、市民の皆様にも、同様の見学をして頂けました。
 市長が徳川家の当時の様子を歴史に習い「多分この辺りで謁見したのでは・・・」とその場所を指差しながら、目を輝かせて、とてもリアルに話されたことで、タイムワープした気分になりました。歴史の重みを感じるとともに、名古屋市民である誇りすら感じることができました。本丸御殿復元は、世界に誇れる建造物になると実感致しました。建屋の見学会は、引き続き行っていくとのことでしたので、ぜひ、市民の皆様にお出掛け頂けたらと存じます。